1月に札幌でフォーカシング指向表現アーツ(FOAT)のワークショップを開いた小坂淑子さん(北大)の論文が、日本人間性心理学会の学会誌第41巻第2号2024年に掲載されました。
論文は「若年無業者の職業準備性に対するフォーカシング指向表現アーツの効果」です。若年無業者とは、高校や大学などに通学しておらず、独身で、ふだん収入になる仕事をしていない15歳以上35歳未満(内閣府)を指します。小坂さんは20代と30代の9人を対象にFOATのグループワークを実施しました。
その結果、「自己充足志向」や「自己の情動評価」の点数が実施前に比べて上昇。アートワークの体験が、興味関心やモチベーションを向上させる方向につながったり、気持ちを客観的に評価できるようになったりする傾向がみられました。
面接では、若年無業者から、社会的規範へのとらわれや体調不良、孤立傾向があったことが語られました。今回のワークを通じて、今ここで感じている、具体的に何をしたいか、何ができるかを表現し、仲間と共有しました。それによって、職業準備の一部である精神的な回復、自他への肯定的な理解、主体的な将来への展望を見いだすことができた、と結論づけました。