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講座

池見さんのWS、2週間延期

 7月6、7日に予定していた池見陽さんのワークショップは、7月20日(土)と21日(日)に延期になりました。20日は北大学術交流会館の第3会議室、21日は道民活動センターかでる27の1040会議室で開きます。
 池見先生のかかわる大学院の業務による急な変更で、申し訳ありません。初日の会場の北大学術交流会館は、札幌市北区北8西5、北大正門より入って左側2棟目・JR札幌駅北口より徒歩10分です。
 申し込みの締め切りも7月14日(日)に延期します。ワークショップの内容は変わりません。引き続き、参加者を募集しています。

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コラム

小坂さんの論文が学会誌に

 1月に札幌でフォーカシング指向表現アーツ(FOAT)のワークショップを開いた小坂淑子さん(北大)の論文が、日本人間性心理学会の学会誌第41巻第2号2024年に掲載されました。
 論文は「若年無業者の職業準備性に対するフォーカシング指向表現アーツの効果」です。若年無業者とは、高校や大学などに通学しておらず、独身で、ふだん収入になる仕事をしていない15歳以上35歳未満(内閣府)を指します。小坂さんは20代と30代の9人を対象にFOATのグループワークを実施しました。
 その結果、「自己充足志向」や「自己の情動評価」の点数が実施前に比べて上昇。アートワークの体験が、興味関心やモチベーションを向上させる方向につながったり、気持ちを客観的に評価できるようになったりする傾向がみられました。
 面接では、若年無業者から、社会的規範へのとらわれや体調不良、孤立傾向があったことが語られました。今回のワークを通じて、今ここで感じている、具体的に何をしたいか、何ができるかを表現し、仲間と共有しました。それによって、職業準備の一部である精神的な回復、自他への肯定的な理解、主体的な将来への展望を見いだすことができた、と結論づけました。
 

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講座

イメージとトラウマケアのWS

 イメージの変化とトラウマのケアについてのフォーカシングのワークショップが5月18、19日に札幌で開かれます。参加者を募集中です。詳細は以下にあります。
 ワークショップ(WS) – 札幌フォーカシングプロジェクト(SFP) (sapporo-focusing.org)
 講師の星加さんは、イメージを中心に展開するフォーカシングは、どのような変化ときっかけによって「推進」にいたるかを研究しました。その結果、イメージ想起から推進までの5ステップが明らかになりました。

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講座

詩「言葉」で木蓮賞を受けて

 札幌フォーカシングプロジェクトの西岡良洋さんが3月9日、2024TAEシンポジウム(オンライン)で詩作の受賞について語りました。
 西岡さん(ペンネーム 久一知歩)の詩「言葉」=以下=は、昨年4月に文芸評論家の若松英輔さんが選んだ第12回木蓮賞を受けました。

    言葉

雪の花 人肌に そっと融けた響き
朝へほのめく 瞬間(とき)のひとひら

 ジェンドリンのTAEを活用して生まれた作品です。シンポジウムの冒頭に「思索現場のブランク活用 意味の際(きわ)を立てる」と題して15分間話しました。
 日本海に面した小樽市在住の西岡さんは、TAEステップの使用例として「海がある」ということはどういうことか、を挙げました。まず、「ある」をブランク=空欄=にして、「海が( )」とします。次に( )に入る言葉として浮かんだのが「見える」、その次に「広がる」というように入れていきます。どちらも新しさがありません。納得できなくて、言葉に窮します。言葉にならないところ=エッジ=にいるムズムズした状態です。
 これを西岡さんは「意味の際が立つ」と日本語で表現しました。「大事なことは、知らないことに興味を持ってそこにいる。意味の際にゆっくりいること」。そこから、ありきたりの感情ではない、新鮮な言葉が浮かんでくる、と言います。
 今回の詩作も同様のやり方でした。最終的に出てきた「朝」は、それ以前に没にした言葉のフェルトセンスと似ているそうです。
 「からだが喜ぶかどうか。すっきりした感じ、いい意味で新鮮な感じが起こってくるかどうか。ブランクを使うことによって詩を書けるようになった」と語っていました。
 
 

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講座

イメージとトラウマケアへの応用

 札幌フォーカシングプロジェクトは5月18(土)、19(日)の両日、札幌市社会福祉総合センターでイメージとトラウマケアにフォーカシングを応用したワークショップを開きます。
 講師は関西から、「お魚フォーカシング」で知られる星加博之さんを招きます。詳しくは下記のチラシをご覧ください。

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例会

3月の例会は9日(土)

 札幌フォーカシングプロジェクトは3月の例会を9日(土)午後1時半から、札幌市社会福祉総合センター3階第3会議室で開きます。
 フォーカシングのセッションのほか、今後のワークショップについての話し合いや、総会を予定しています。

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コラム

「体験過程と意味の創造」から考察

 日本フォーカシングプロフェッショナル会主催の講演会が1月8日、オンラインで開かれました。TIFI認定フォーカシングトレーナーの田中秀男さんが「『体験過程と意味の創造』から見たフォーカシング」と題して講演しました。
 「体験過程と意味の創造」(ECM)はジェンドリンの初期の哲学的主著です。1962年に公刊され、日本語訳は1993年に出版されています。この中で、感じられた意味(felt meaning)とシンボルとの7つの機能的関係が説かれており、田中さんはその一つの「直接参照(direct reference) 」に基づいて、フォーカシングセッションの逐語記録を検討しました。
 直接参照は、「この感じ」「それ」など指示代名詞を使って、感じられた意味に向かうことです。このとき、シンボル(言葉)の役割は、感じられた意味を指し示すこと、引き立たせることだけ。適切に言えているかどうかという問題が存在しません。
 田中さんは逐語記録で、フォーカサーが新鮮な言い回しをする直前に生じる短い沈黙に着目。その前にリスナーが「ちょっと、それに軽く触れてみて、そうしたら何が出てくるかを見てみましょう」という教示をしていました。「それ」に何も押しつけず、「それ」から何が出てくるのかを待つようにという教示が、効果を挙げた例としました。
 ジェンドリンのフォーカシング簡便法にある、フェルトセンスの取っ手のような「ハンドル」表現が見つかっても、リスナーの「その感じと一緒にいてみましょう」などという教示を受けてフォーカサーが短い沈黙をしていると、表現が変わっていくことがよくあります。
 田中さんは、これらをECMでいう「創造的遡行」を呼びました。
 このほか、「感じられた意味」は、日常生活で常に機能しており、フェルトセンスの形成されていないものを含む広い概念であることなど刺激に富む講演でした。
 
 

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コラム

フォーカシング指向表現アーツWS

 表現アートセラピーとフォーカシングを統合したフォーカシング指向表現アーツセラピー(FOATⓇ)のワークショップを1月13、14の両日、札幌市社会福祉総合センターで開きます。満席となりました。
 1月の札幌フォーカシングプロジェクト例会は休みになります。
 このホームページの「ワークショップ」に詳しい説明があります。講師の小坂淑子さん(北大学生相談総合センター講師)は、この分野で国際的な研究を進めています。コルビーという人型に自分のカラダの感じを表し、自分にやさしくする練習もします。上の写真はコルビーに自分の感じを表すものを置いた作例です。
 
 

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集い

フォーカサーの集いin福岡

 怒りへの対処から、植物好きのフォーカサーのためののワークまで。8月19、20日に福岡市内で開かれた九州で12年ぶりのフォーカサーの集い。フォーカシングの可能性が広がりました。
 25の「出店」の中で、「第6回ジェンドリン哲学や仏教を語り合おう~怒りとフェルトセンス」で議論が盛り上がりました。話題提供者の土江正司さんは怒りへの対処法として「怒りがあるとわかっている。ただ気づく、抑えようとしない。怒りを対象化し、出すことによって変化が生じる。フォーカシングやこころの天気は、怒りへの対処法を提供している」と述べました。
 朝のテレビドラマ「らんまん」で植物が注目されている中、岡村心平さんは「ボタニカル・クロッシング(植物との交差)」を出店。最近の自分の状況やありようを動物にたとえる池見陽さんの「アニクロ」を実践する中で思いついたワークです。何かの植物にたとえ、「その状況のどこがその植物の感じなのでしょう」などと質問をします。参加者がペアになってやり、新たな視点から体験を振り返る機会になっていました。
 このほか、インタラクティブ、創造性を育むアート、粘土、自己表現、動きと踊り、セラピストの成長、子供とのワーク、夢、TAE、プロセスモデル、ホールボディーなど多彩な出店が開かれました。
 会場で振る舞われた茶菓や、情報交換会で提供された地元の味の夕食など、スタッフのきめ細かい配慮が行き届いていました。
 来年は、千葉県の和洋女子大で開かれます。
写真は、集いの前に観光で訪れた福岡県太宰府市の観世音寺と、大分県中津市の羅漢寺、福沢諭吉旧家です。
 

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講座

フォーカシング指向心理療法とは

 「来談者の生の動きに合わせて対応する」「柔道の試合のようなもので、フェルトセンスを感じたら背負って投げる」ー。6月16、17日に道民活動センターで開かれたフォーカシング指向心理療法のワークショップ。フォーカシングを知らないし、しようと思っていない来談者に対して、カウンセラーがどのような応答をするかを学びました。
 講師の内田利広さん(龍谷大教授)は九州大で村山正治さんのもとでフォーカシングと出会い、増井武士さんや神田橋條治さん、成田義弘さん、池見陽さんら名だたる心理療法家と交わり、研究を深めてきました。昨年、「フォーカシング指向心理療法の基礎」を出版しました。
 フェルトセンスは、ある問題についての漠とした、言葉にしがたい内的な気づきや身体的な感覚のことです。ここに目が向かないと、面接が進んでいない感じがします。
 内田さんは自らカウンセラーとしてかかわった例を提供しました。カウンセラーは、来談者の言うことをまず尊重します。大変な経験だったのに「平気でした」と語る場合も、「平気な訳ないじゃない」などと反論するのは愚の骨頂です。面接の中で信頼関係ができて、少しずつフェルトセンスに目を向けている中で、来談者が体験を言葉にすると、変わっていきます。
 来談者が自分のフェルトセンスにどのように触れようとしているかを「触知」という言葉で説明しました。来談者は自分の体験にあまり触れようとしないことも多いですが、その時は触れないことが大事で、無理に言葉にしなくてもいいそうす。来談者の見たくないものでも、カウンセラーが安心感をもってそこにいると、触れられることがあります。このような態度がカール・ロジャースの言う「傾聴」だそうです。
 来談者とカウンセラーのフェルトセンスは場の状況を含めたもので、基本的に共通していると説きました。来談者のフェルトセンスを促進しそうな時にはカウンセラーがその言葉を発してみます。「基本はそんなに伝えなくてもいい。これ以上近づかない方がいいと感じたら、『今日はそんなとこでいいでしょうか』と確かめる」と、内田さんは二人の間の川に「小石」を投げ込むかどうかの慎重な扱い方を、語りました。
 参加者がペアを組んでの実習も含め、実りの多い2日間だったようです。