カテゴリー
コラム

「フォーカシング指向心理療法の基礎」出版

内田利広さんの著書「フォーカシング心理療法の基礎 カウンセリングの場におけるフェルトセンスの活用」が出版されました。

 龍谷大教授で、日本フォーカシング協会前会長の内田利広さんが、「フォーカシング心理療法の基礎 カウンセリングの場におけるフェルトセンスの活用」と題した著書を創元社から出版しました。
 この本は、フォーカシング指向心理療法について、日本語で詳細かつ丁寧に、長年の研究成果を含めて書き起こした、刺激に富む一冊です。内田さんが、九州大で村山正治さんや増井武士さんからフォーカシングを学び、池見陽さんや神田橋條治さん、成田善弘さんの影響も受けながら、同療法の理解を深め、実践を積んできた成果をまとめました。
 その全体を要約するのは私の身に余るので、付箋をつけた箇所の一部を拾い読み的に紹介します。
 内田さんはフェルトセンスに意識を向け、やさしく触れる感覚を日本語で「触知」と名付けました。セラピスト自身がクライエントの体験の中に流れている感覚(フェルトセンス)を繊細に感じており、クライエントが今まさにこのフェルトセンスとどのような関わりを持とうとしているか(あるいは持たないようにしているかを含めて)を触知することが「相手の身になる」ということであり、これがフォーカシング指向心理療法における共感である、と言います。
 クライエントのフェルトセンスないし、それへの触知の状況を感じとるには、「その面接場面におけるセラピスト自身のフェルトセンスを触知することが重要な意味を持つ」。これは、セラピストの”腑に落ちる”、”納得できる”という感覚で、セラピスト自身のフェルトセンスとの相互作用から生じてくるものである、と説きます。
 面接現場におけるクライエントとセラピストのフェルトセンスは別ものではなく、常につながっている共有性があるとみることが、こうした考えのベースにあります。
 税込み2860円。創元社は出版記念のオンライン講座「臨床現場におけるフェルトセンスの活用を語る」を8月21日(日)に開きます。チラシを添付します。