関西大大学院教授の池見陽さんが9月5日、日本人間性心理学会の学会賞受賞記念講演をしました。「旅路に眺める心景色~道ゆく人々の間にて」と題し、ズームで一般公開されました。
池見さんは、「無意識」を「お化けにようなもの」とたとえました。だれも見たことがないものを、あると仮定したことは、「現代文明にとってマイナス」と述べました。
そもそも、人の体験は正確に言葉になっておらず、体験を言葉にしていく相互作用の中で追体験が生じてくると説明。「話し手と聴き手相互の追体験を語ることで深まっていく。体験ー表現ー理解という循環を通して、新しく見いだされた意味が過去を上書きしていく」と語りました。
それが、池見さんの言う「推進された『だった』」です。それに気づかなかったのは、「無意識だった」という考え方は、説明の概念で、「もともと無意識があるわけではない」と、精神分析理論との違いを明らかにしました。
演題の「旅」の次の駅は、マインドフルネスです。これを使った池見さん考案の「青空フォーカシング」では、自分に慈悲の言葉を贈ります。「多くの人は『みなさんが幸せで健やかにありますように』と言うけど、自分は頑張る。そうでなくて、『自分が幸せで健やかにありますように』と自分にコンパッション(同情心)を贈る」という勧めは、他者援助にかかわる人に大切かもしれません。
講演の動画が公開されました。下記からご覧になれます。