札幌フォーカシングプロジェクトの11月の例会は23日(土)午後1時半から、札幌市社会福祉総合センター3階の第3会議室で開きます。
通常のセッションのあと、来年1月のワークショップの打ち合わせをします。
秋の空は移ろいやすく、夕方、こんな光景も見られました。
札幌フォーカシングプロジェクトの11月の例会は23日(土)午後1時半から、札幌市社会福祉総合センター3階の第3会議室で開きます。
通常のセッションのあと、来年1月のワークショップの打ち合わせをします。
秋の空は移ろいやすく、夕方、こんな光景も見られました。
対話で紡ぐコミュニティの創造ーSNSの広がりの中でーをテーマに9月27日から3日間、山口県山口市で開かれた第43回日本人間性心理学会。日本にフォーカシングを紹介した村山正治さん(九州大・東亜大名誉教授、90歳)が「人類の大転換期に私はどう生きるか」と題して講演しました。大会準備委員会の企画です。
村山さんは、ロジャーズとジェンドリンの実践と思想から大きな影響を受けています。ロジャーズは紛争解決にエンカウンターグループを活用し、1987年ノーベル平和賞候補になりました。ジェンドリンも、「チェンジズ」と呼ぶ、互いにフォーカシングと傾聴をするグループを提唱しました。「心理臨床の問題を個人に還元せず、社会の変数である」とみます。このグループは、世界に広まり、札幌フォーカシングプロジェクト(SFP)もその一つです。
村山さんは、ロジャーズの「静かな革命」を「1人1人のあり方が大事にされて、相互理解でつながっていくこと。そんな生き方をしたい」と熱く語りました。その例として、決められた日時だけ集まる時間コミュニティの「福岡人間関係研究会(福人研)」と、事例提供者を大切にした事例検討法(PCAJIP)を取り上げました。
福人研から生まれた人間関係を①楽に自然に呼吸できる②自分の悪いところだけでなく、良いところも感じとれる③困った時に他人に頼ることを自分に許せるーと説明しました。
また、セラピーや人間関係の中で「政治」はだれが権力を持つかにあり、当事者が評価し、自分を理解し、選択できる、いわば「政治」を自分自身に適用することが大事であるとしました。
今学会では、SFPの小坂淑子さんが、アーツをジェンドリンのTAE(エッジで考える)に取り入れた試みを口頭発表しました。
近年札幌でのワークショップに招いた講師の中では、岡村心平さんが生成AI時代のフォーカシング実践の未来像を探る発表をしました。フロアとの質疑も活発で、「私たちの人生は1回しかない。聴き手のAIから何億回のデータをつきつけられても、おまえ本当にわかっているのかと…」「『私は生きている人間としてこう感じます』と言えるのが機械にできない人間の仕事」などの発言がありました。
酒井久実代さんは、インタラクティブ・フォーカシングを取りいれたカウンセリングが感情状態に及ぼす効果。星加博之さんは「フォーカサーとポリフォセンス(多様な思い)との対話」について口頭発表しました。
もう一つの大会準備委企画で「発達障害の謎」と題した講演については、以下のリンクに載せました。
発達障害の謎ー人間性心理学会講演 | フォーカシングin北海道 (kamimurahideki.net)
写真は山口県萩市の旧城下町にある菊屋家住宅。世界遺産「明治日本の産業革命遺産」で、「全国最古に属する町家」として国の重要文化財。
札幌フォーカシングプロジェクトは2025年1月11日(土)と12日(日)、午前10時から午後5時まで、札幌市社会福祉総合センターで「『聴く』を見直そう:フォーカシングで「傾聴」スキルを深めてみませんか?」と題したワークショップを開きます。
初日は「フォーカシングを活用した傾聴ワーク」。TIFI認定フォーカシングトレーナーの榊原佐和子さんが主担当になります。
2日目は「非言語の表現を見る・聴く・感じる」。同資格の小坂淑子さんがメーンの担当になります。
フォーカシングをもっとうまくなりたい方、傾聴スキルを向上させてスキルを高めたい方、「傾聴」をもっと深めたい方、「傾聴」に興味がある方にお勧めです。
フォーカシング経験のない方でも参加いただけます。
〇申し込みは、以下のフォームから ↓→https://forms.gle/BXyEstrzomEodaaaA
写真は昨年1月の小坂さんによるフォーカシング指向表現アーツのワークショップです。
札幌フォーカシングプロジェクト10月の例会は5日(土)午後1時半から5時まで、札幌市社会福祉総合センター3階の第2会議室で開きます。
フォーカシングと傾聴の練習のほか、来年1月のワークショップについての話し合いもします。
写真は、芸術の秋にちなんで、札幌市芸術の森野外美術館の作品「椅子になって休もう」です。
得丸智子さんの「漠然力で考える ゆくてをつかむTAE思考法」が出版されました。
本の帯にある通り、AI時代を生き抜く人間のための全身感覚思考法です。
「全身感覚」というのは、フォーカシングの言うところのフェルトセンス(からだの感じ)であることは言うまでもありません。
本全体がワークの連続です。TAEを知らないビジネスパーソンを主な対象にしています。日々の暮らしや仕事のチームワーク、あこがれの起業家やビジネス人、働きがいなどをテーマに書きながら進めます。ジェンドリンが開発したTAE(エッジで考える)を、得丸さんがやさしい手順にしたシートを使います。
定価1760円(税込み)。 本のチラシを添付します。
1月に札幌でフォーカシング指向表現アーツ(FOAT)のワークショップを開いた小坂淑子さん(北大)の論文が、日本人間性心理学会の学会誌第41巻第2号2024年に掲載されました。
論文は「若年無業者の職業準備性に対するフォーカシング指向表現アーツの効果」です。若年無業者とは、高校や大学などに通学しておらず、独身で、ふだん収入になる仕事をしていない15歳以上35歳未満(内閣府)を指します。小坂さんは20代と30代の9人を対象にFOATのグループワークを実施しました。
その結果、「自己充足志向」や「自己の情動評価」の点数が実施前に比べて上昇。アートワークの体験が、興味関心やモチベーションを向上させる方向につながったり、気持ちを客観的に評価できるようになったりする傾向がみられました。
面接では、若年無業者から、社会的規範へのとらわれや体調不良、孤立傾向があったことが語られました。今回のワークを通じて、今ここで感じている、具体的に何をしたいか、何ができるかを表現し、仲間と共有しました。それによって、職業準備の一部である精神的な回復、自他への肯定的な理解、主体的な将来への展望を見いだすことができた、と結論づけました。
札幌フォーカシングプロジェクトの西岡良洋さんが3月9日、2024TAEシンポジウム(オンライン)で詩作の受賞について語りました。
西岡さん(ペンネーム 久一知歩)の詩「言葉」=以下=は、昨年4月に文芸評論家の若松英輔さんが選んだ第12回木蓮賞を受けました。
言葉
雪の花 人肌に そっと融けた響き
朝へほのめく 瞬間(とき)のひとひら
ジェンドリンのTAEを活用して生まれた作品です。シンポジウムの冒頭に「思索現場のブランク活用 意味の際(きわ)を立てる」と題して15分間話しました。
日本海に面した小樽市在住の西岡さんは、TAEステップの使用例として「海がある」ということはどういうことか、を挙げました。まず、「ある」をブランク=空欄=にして、「海が( )」とします。次に( )に入る言葉として浮かんだのが「見える」、その次に「広がる」というように入れていきます。どちらも新しさがありません。納得できなくて、言葉に窮します。言葉にならないところ=エッジ=にいるムズムズした状態です。
これを西岡さんは「意味の際が立つ」と日本語で表現しました。「大事なことは、知らないことに興味を持ってそこにいる。意味の際にゆっくりいること」。そこから、ありきたりの感情ではない、新鮮な言葉が浮かんでくる、と言います。
今回の詩作も同様のやり方でした。最終的に出てきた「朝」は、それ以前に没にした言葉のフェルトセンスと似ているそうです。
「からだが喜ぶかどうか。すっきりした感じ、いい意味で新鮮な感じが起こってくるかどうか。ブランクを使うことによって詩を書けるようになった」と語っていました。
札幌フォーカシングプロジェクトは5月18(土)、19(日)の両日、札幌市社会福祉総合センターでイメージとトラウマケアにフォーカシングを応用したワークショップを開きます。
講師は関西から、「お魚フォーカシング」で知られる星加博之さんを招きます。詳しくは下記のチラシをご覧ください。
札幌フォーカシングプロジェクトは3月の例会を9日(土)午後1時半から、札幌市社会福祉総合センター3階第3会議室で開きます。
フォーカシングのセッションのほか、今後のワークショップについての話し合いや、総会を予定しています。
日本フォーカシングプロフェッショナル会主催の講演会が1月8日、オンラインで開かれました。TIFI認定フォーカシングトレーナーの田中秀男さんが「『体験過程と意味の創造』から見たフォーカシング」と題して講演しました。
「体験過程と意味の創造」(ECM)はジェンドリンの初期の哲学的主著です。1962年に公刊され、日本語訳は1993年に出版されています。この中で、感じられた意味(felt meaning)とシンボルとの7つの機能的関係が説かれており、田中さんはその一つの「直接参照(direct reference) 」に基づいて、フォーカシングセッションの逐語記録を検討しました。
直接参照は、「この感じ」「それ」など指示代名詞を使って、感じられた意味に向かうことです。このとき、シンボル(言葉)の役割は、感じられた意味を指し示すこと、引き立たせることだけ。適切に言えているかどうかという問題が存在しません。
田中さんは逐語記録で、フォーカサーが新鮮な言い回しをする直前に生じる短い沈黙に着目。その前にリスナーが「ちょっと、それに軽く触れてみて、そうしたら何が出てくるかを見てみましょう」という教示をしていました。「それ」に何も押しつけず、「それ」から何が出てくるのかを待つようにという教示が、効果を挙げた例としました。
ジェンドリンのフォーカシング簡便法にある、フェルトセンスの取っ手のような「ハンドル」表現が見つかっても、リスナーの「その感じと一緒にいてみましょう」などという教示を受けてフォーカサーが短い沈黙をしていると、表現が変わっていくことがよくあります。
田中さんは、これらをECMでいう「創造的遡行」を呼びました。
このほか、「感じられた意味」は、日常生活で常に機能しており、フェルトセンスの形成されていないものを含む広い概念であることなど刺激に富む講演でした。