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池見陽さん、学会賞受賞講演

 関西大大学院教授の池見陽さんが9月5日、日本人間性心理学会の学会賞受賞記念講演をしました。「旅路に眺める心景色~道ゆく人々の間にて」と題し、ズームで一般公開されました。
 池見さんは、「無意識」を「お化けにようなもの」とたとえました。だれも見たことがないものを、あると仮定したことは、「現代文明にとってマイナス」と述べました。
 そもそも、人の体験は正確に言葉になっておらず、体験を言葉にしていく相互作用の中で追体験が生じてくると説明。「話し手と聴き手相互の追体験を語ることで深まっていく。体験ー表現ー理解という循環を通して、新しく見いだされた意味が過去を上書きしていく」と語りました。
 それが、池見さんの言う「推進された『だった』」です。それに気づかなかったのは、「無意識だった」という考え方は、説明の概念で、「もともと無意識があるわけではない」と、精神分析理論との違いを明らかにしました。
 演題の「旅」の次の駅は、マインドフルネスです。これを使った池見さん考案の「青空フォーカシング」では、自分に慈悲の言葉を贈ります。「多くの人は『みなさんが幸せで健やかにありますように』と言うけど、自分は頑張る。そうでなくて、『自分が幸せで健やかにありますように』と自分にコンパッション(同情心)を贈る」という勧めは、他者援助にかかわる人に大切かもしれません。

講演の動画が公開されました。下記からご覧になれます。

https://www.2021jhpc.org/memorial2021/


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「知の伝承」村山正治さん

 日本人間性心理学会は第40回記念大会の記念企画として「知の伝承」と題し、これまで人間性心理学を牽引してきた名誉会員6人へのインタビュー動画を公開しました。このうち、村山正治さんが「一人一人が自分を大事にして、人とつながる」ことを強調したことが、胸に響いてきました。
 「自分はこれで役に立てるよね」と言って、できないことは人にやってもらう。それがネットワークだというのです。村山さんは、問題解決ではなく、何かが生まれてくるまで待つ、というカール・ロジャーズの影響を受けました。それには安心して自分を向き合える場が必要です。「一人一人を大事にしていく世界をつくりたい。コミュニティという感覚が大事。みんなで作っていくんだという場を社会につくるファシリテーターになる」と話していました。
写真は2018年10月、「私を語る」の講演とビジョンワーク、PCAJIP(ピカジップ)のワークショップで札幌にいらした際に撮影しました。